このたびFetish and Maniac Videoの写真集(電子書籍版)を発売することになりました。20分ほどの映像も収録しております。対応端末は電子書籍リーダー、 Android、 iPhone、 iPad, デスクトップアプリです。第一弾は2023年08月11日発売予定です
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ゼンタイ1 ータイトフィットな午後 vol.1ー
(SMART BOOK)[電子書籍版]
2023年08月11日発売予定
ゼンタイ2 ータイトフィットな午後 vol.2ー
(SMART BOOK)[電子書籍版]
2023年08月18日発売予定
全身タイツ
全身を布で覆われた自分の姿を、繊維の編み目から見たときに得られる何ともいえないエクスタシー。表面をなでれば、まるで第二の皮膚をまとっているような未知の触感が全身を駆け抜ける。「全身タイツ」というよりは「ゼンタイ」と略称で呼ばれることの方が多い。それは全身タイツというと、いわゆるTVでよく見かけるモジモジ君だとか、パーティーグッズ売場に置かれている「動物スーツ」なんかを想像させるが、それらとは一線を画した、フェティッシュウェアだからだ。
ゼンタイはその名の通り、体中をくまなくタイツで覆ってしまうもの。全身というからには、指先から足の爪先までは言うまでもないが、何より特徴的なのは、頭部まですっぽりと包み込んでしまうことだ。手足などはもちろん頭部までの全てがつながっているので、のっぺらぼうの影人間状態になってしまう。ラバーウェアでも、全身を覆うキャットスーツがあるが、これに比べ、ゼンタイは薄い布地だけに、体のラインがよりいっそう強調されることになり、特に女性が着た場合には裸体以上に身体の線が強調され、かなりなまめかしい感じさえする。
ラバーやレザー、PVCなどのウェアは、欧米のフェティッシュシーンを語るうえで欠かせないベーシックなアイテムだが、ゼンタイは考案され日本で進化を遂げた日本発のオリジナルであるとされている。よってその歴史はまだ新しく、ここ数年で爆発的にマニア人口を増やしているとはいえ、発展途上であるともいえる。聞くところによると、ゼンタイはある二人のマニアがお互いの存在を知らずに、それぞれ独自に開発してたった一人で楽しんでいたという。その後、アンダーグラウンドシーンでも頻繁に開かれるようになったフェティッシュパーティーや、パソコン通信を通じて知り合うことになり、ゼンタイを一つのジャンルとして確立していったという。
パソコンという情報ツールを駆使しての情報交換の場は、その後独自の「タイツパーティー」を開催するほどの盛り上がりを見せ、その模様はいくつかの雑誌やテレビなどでも紹介され、その衝撃的なルックスがマニアの増加を助長したともいえる。
素材は、いわゆるタイツ地で作られている。とは言ってもパンティーストッキングでは薄すぎて縫製が困難なので、バレエやエアロビクスなどのレオタードのようなものを想像するといいかもしれない。その素材は、質感によって以下の3種類に分けられる。光沢がありフィット感抜群の「オペコット」。あまり締め付けはなく、ちょっとジャージに似た肌触りのする「スムース」。そして、女の子がはくタイツを厚手にしたような(タイツの厚さを表現するデニール数で言うと300デニールぐらいだろうか)マット地でぴったり肌に吸い付く感じが心地良い「ソフトスムース」。
その他にも、ふさふさとして滑らかな手触りが心地よい「起毛地」や、ぬめるようなねっとりとした「光沢生地」、CMでお馴染みの「ペプシマン」のような「メタリックラバー」のようなものもある。どの生地を選ぶかは個人の好みによるだろうが、マニアはやはりできる限り体にピッタリとする素材を好むといわれている。ここにあげた素材は、いわゆる舞台衣装に使われるものなので、色は各色豊富に取りそろえられているし、カラフルな模様が描かれた生地も手に入る。特に模様入りの布地で作られたものは、幾何学的な文様と相まってまるで無機質生命体の様相を醸し出す。マニアならずともそれを目にする人たちも何かを感じることができるようだ。
たとえばラバーなどは、日本でもフェティッシュウェアとして認知されているので、それを専門に扱うショップもあるし、雑誌などにもそのメンテナンス方法などが紹介されることも少なくない。ここ最近でこそゼンタイを取り扱うショップで出てきてはいるが、まだ新しいジャンルであった当初、マニアはそれを手に入れるために並々ならぬ努力をしなければならなかった。基本的には舞台衣装やコスプレの衣装を作っている工房へオーダーして作ったようだが、素材や形状、フィット感など満足のいく仕上がりのものを手に入れるには、膨大な費用と時間を費やし、かなりの試行錯誤を繰り返す必要があった。一着10万円を超えるものもあり、ゼンタイにかける熱い思いを感じることができる。ただ、具体的にどこでどうやって入手しているのかは先人のマニアたちが苦労して切り開いてきた道なので、ここではあえて紹介しない。
では、ゼンタイの楽しみ方とは何か? あるマニアの言葉を借りると「全身がまるで性器になったような感覚がある」だそうだ。ゼンタイの上から体の一部を触られると、その感覚がゼンタイを通して体中に広がっていく。ゼンタイを着たもの同士で触れ合うと、素肌では感じることのできないものが体中を微妙にざわつかせ、得も言われぬ快感が身体を突き抜けるという。女性が着用した時に皮膚に張り付いたようになった体のラインを眺め、じっくりとなぞっていく……というのもかなりディープでたまらないエロティックさでもあるのだ。
もちろんそうした直接的なプレイだけでなく、タイツそのものにフェティシズムを感じたり、顔までも覆ってしまうことよる非人間的な要素にそれを感じることもある。さらにそのポップな風貌自体を楽しんでしまう、アートとしてのゼンタイを楽しむマニアもいてその奥深さは計り知れないのである。